加齢黄斑変性とは

目の中には網膜というカメラのフィルムにあたる膜があります。網膜の中心部は黄斑とよばれ、視細胞というものを見るために重要な細胞が密集しています。黄斑は網膜の中で一番大切な場所です。黄斑部が障害されると、視力が低下し、細かいものの識別や色の見分けが出来なくなります。

加齢に伴い、網膜の老廃物を処理する力が衰え、黄斑部に老廃物が沈着し、網膜の細胞や組織に異変を来すことが原因と言われています。リスクとして、紫外線による暴露、喫煙、生活習慣などが言われています。

加齢黄斑変性のタイプ

萎縮型黄斑変性

萎縮型黄斑変性は、黄斑部の視細胞がゆっくりやられていき、網膜が薄くなっていく病気です。薄い網膜の部分は徐々に拡大していきます。このタイプは欧米人に多いと言われていますが、日本人でもみられることがあります。

滲出型黄斑変性

滲出型黄斑変性は、網膜の下に『脈絡膜新生血管』と呼ばれる新しい血管が出来て、黄斑部にダメージを与えます。新生血管は正常の網膜にはない血管で、非常に脆く、破けて出血を起こしたり、水分が漏れることがあります。この新生血管からの出血や水分が原因で、黄斑部が傷んでしまい、視力の低下やゆがみなどの症状を引き起こします。

加齢黄斑変性の予防法

• ルテイン(βカロテン)
• ビタミンＣ
• ビタミンＥ

などの摂取が発症や進行予防に良いと言われています。ルテインはほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。

加齢黄斑変性の治療法

萎縮型黄斑変性

残念ながら現在有効な治療方法はありません。ただし、今後滲出型黄斑変性に移行することがあり、その場合視力の低下などを起こすため、定期的な診察が重要です。

滲出型黄斑変性

現在、最も使われているのが抗VEGF薬という新生血管の原因となるVEGF（血管内皮増殖性因子）を抑える薬を目の中の硝子体に注射する方法です。目の中に注射と聞くと非常に怖いかもしれませんが、非常に細い針を用いて行うため、採血などの注射のほうが痛いとよく言われます。

抗VEGF薬の眼内注射の他の治療法として、弱いレーザーを照射して新生血管を破壊する『光線力学療法』や新生血管を直接レーザーで焼く『網膜光凝固術』などの方法があります。

当院ではこれらの治療は行っていないため、治療が必要な場合は連携している他の病院に紹介させていただきます。